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（１９９５・６・２１発売）
（オリコン最高１５位、 セールス １０・０万枚）
（雑誌ワッツイン より再記載。詳しい月号は不明。９５年６月号あたり）
●本当に ごぶさたしてしまっています。ライブビデオは
出したのですが、（注：パルコライブのビデオの事。９５年３月２４日リリース）
オリジナルとしては、昨年の１０月以来、８ヶ月ぶりになりますネ。
タイトルは、「原始、女は太陽だった」。すごいタイトルでしょ。
今まで私は漢字２文字とかに、けっこうこだわってたんですけど、
この歌ならもう納得。７月発売のアルバムに先駆けて、ジメジメした梅雨まで
ブッとばすような「太陽」のイメージで作りました。
久しぶりのアップ・テンポで、サビの部分の繰り返しがとても覚えやすく
なっていますので、カラオケに行ったら歌ってみてください。
このシングルのジャケットは東京で撮ったんですが、つい最近、
アルバム・ジャケットの撮影でモロッコに行ってきました。いや遠いのなんのって、
もう飛行機乗ってるだけでひと仕事でした。ただ向こうのホテルやレストランの
壁に施されたモザイク模様にはため息の連続。物価は安いし、人はのんびり
しているわで、帰りの飛行機に乗るのが嫌で嫌で。
でも、これからＴＶ、ラジオ、雑誌などで忙しい日々に突入です。■■■
●このシングルが発売されたのは、６月２１日。おそらくレコーディングは
５月には終えていただろう。この曲のイメージは「太陽」。
もちろん、タイトルは、平塚らいてうの名言の、もじりである。
今まであった不幸のイメージから『脱皮』しようと、明菜は唄う。そのために
作詞家・及川眠子は、残酷なまでの、過去の明菜ストーリーを描いた。
「恋に落ちて 私は燃え尽きて 孤独という氷河をさまよった」
「不幸に愛された運命はまた この心を手まねくけど」
当時、明菜はＴＶでは、この部分の入った１番は唄おうとせずに
ほとんどの歌番組で２番から唄った。そりゃ、そうだよなぁ。
自分で自分の過去を暴露するようなモノだもの。
（ＨＥＹ ＨＥＹ ＨＥＹチャンプは、例外だったと記憶しているが）
しかし、歌詞も、だんだんと『救い』のある内容になり
「太陽が昇る 裸の胸に いま哀しみさえ 生きる力に変えてく」
「ただありのままに 愛をもとめてゆきたい」
となる。歌全体を通すと、「いろいろ過去には不幸があったけれど、これからは
強く生きていくわ」という、明菜のメッセージ ＝ （ファン、世間、マスコミ）に
取れる。曲調も、異国情緒あふれるサウンドだし、キャッチーなサビ。
本領発揮！のラテン・ビート。
「これで、明菜は本格的に『復活』するかも・・・」私は淡い期待を抱いた。
しかし、予想外の事が起こる。
６月１０日、午前１０時３０分。明菜最愛の母、千恵子さんがガンで
亡くなったのだ。（享年５８歳）
千恵子さんは、入退院を繰り返していたが、地元の病院に６月４日に緊急入院。
７日には危篤状態で明菜も駆けつけた。いったんは、持ち直した母親。
明菜は９日にも病院に行っている。ただ、もうこの時には、千恵子さんは、家族とは
会話できる状態ではなかったという。運命の１０日。明菜はフジテレビの『音楽旅行』
の打ち合わせの仕事があり、夜、清瀬に帰って、ようやく母親と再会できた。娘として。
翌日は、「ＨＥＹ ＨＥＹ ＨＥＹ」のチャンプの収録があった。
明菜は、１２日。告別式には参加せず、最後まで母親がしていたという指輪をはめて
『音楽旅行』のロケでフランスに旅立った。
中森明菜は、ますます『不幸の女』のレッテルが、はられる事になった・・・。
明菜の運命は不幸に愛されてゆく・・・。だが、明菜は唄う。
その年の夏、８月１２日。神戸のチャリティーイベントで、明菜は「ラ・ボエーム」
「愛撫」「原始、女は太陽だった」の３曲を披露。
明菜は３０歳になっていた。そして１２月の神戸と横浜での「ＴＲＵＥ ＬＩＶＥ」でも
もちろん、「原始・・・」を明菜は唄った。
この歌は、２０００年ライブでも、２００２年ライブでも、
今年のライブでも披露された。明菜の胸には、どんな思いが去来したのか。
ふと、思う。「９５年の明菜は大変だっただろうなぁ、」と。
２００６年、この歌を唄う中森明菜には全く『暗さ』は無かった。
明菜は４１歳になっていた。
この歌は、たしかに「太陽」をイメージした歌である。
だが、重い。過去の事情や背景を考えると、更に重い。
聞く方も、覚悟がいる。そんな歌だ。
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