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Zero Albumで初めてこの曲を知った。そしてレコード店に走った。「この曲を作った人はどう歌っているのだろうか」との好奇心がそうさせた。
Ego-Wrappin・中納良恵のそれは、酒場のアルコールのにおいがぷんぷんするものだった。サックス、ドラムス、パーカッションが酒場の喧噪を描き出す中、今にも酔客の話し声が聞こえてきそうだ。中納の歌声は、そんな雰囲気をあおるように響き渡る。
これに対し、中森の歌唱は、どこまでも洗練されたものとなっている。 「鉛の指から流れるメロディー」はとろけるように甘く、 「激しく染める光の渦」はめまいがするほど艶っぽく、 「明かりの色が奏でるブルース」はしっとりと優雅で、 「やさしく泣いてる吐息」は、身震いするほど官能的にしなだれかかる。
ピアノ、ウッドベース、ドラムスに乗って、中森は、耳元でささやくように甘く、艶のある声で歌いかける。ストリングスがそれを優雅に追いかける。
不思議なことに、中森の色彩のブルースを聴くと、無性にEgo-Wrappinのものを聴きたくなることがある。無い物ねだりを許して頂けるなら、この曲はEgo-Wrappinのレコード(UPCM5001)の編曲で中森が歌うのを聴いてみたい。中森にはサックスがよく似合うからだ。きっと、全く違った中森の“色彩のブルース”が誕生するに違いない。 2002年のDinner Showでは、この曲が歌われた。背筋がぞくぞくしたのを想い出す。
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