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この歌は今まで幾度となく耳にしてきたのに、今回のアルバムによってまたしても歌詞を初めて理解した。きっとファンの「よく目」だろう。中森明菜が歌うと歌詞が心に残る。
何度もアルバムの「軽さ」を称賛してきたが、BESTの一曲をあげるならば実はコレ。
今盤は軽めの曲を続けてきて、締めにこれが来るとは、御見それしました。
聞き込んでみると、この歌はifから始まる仮定形の願望と、shall「私なら絶対〜するのに」という
決意しかない事に気が付く。それはつまり、現実はまったくその逆ということだ。
男は女の隣で朝を迎えるどころか、眠りにつくこともない。
男は夜中に「会いたい」と電話してくることはない。決してない。そういう関係だ。
その男を女は「ただ一人の運命の人」と、声の限りに叫ぶ。
これは、そういう愛に迷い込んでしまった女の魂の叫び、いや、魂そのものを書き留めたものと
言っても良い。中森明菜はそれを、幽体離脱か人魂もかくや、とばかりにオカルティックに歌う。
夜、男を想う女の魂は体を離れ、細く糸引き、風にたゆたい、時には千切れそうになりながらも
確実に男の枕元にたどり着く。
隣で眠る見知らぬ女など目に入るものか。わたしはただ、この人の髪を指ですき、頬を寄せ、
寝息で耳の産毛をくすぐられ、そしてやさしくキスをするのだ、この人が幼子に戻るその時まで・・・。
この歌は吉田美和の天賦の才によって生み出され、人々を魅了し、多くの歌手に歌い継がれ、
そして今、中森明菜の掌に落された。おそらくこれが、この歌の完成形の一つだ。
これ以上の歌唱はそうは・・・無い！
源氏の世から、平成に至るまで、げに女は恐ろしきかな。もう一人でトイレに行けません。
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