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漢字タイトルからするとイマイチかなと思われがちですが、歌詞に小悪魔（コアクマ）とル・プアゾンと両方出てきます。音で聞くコアクマとル・プアゾンはいい年の私が聞いても違和感はありません。
さてこの小悪魔（ル・プアゾン）はＴＡＴＯＯのＢ面として１９８８年にリリースされた作品です。
最近では中森明菜の８０年代の偉業をいとも簡単に元アイドル云々とＴＶで回顧されますが、このような作品を歌いこなせる人を元アイドルのような軽い言葉でくくって欲しくないとつくづく思うほどです。
１９８８年と言えば明菜さんも２３歳。１７歳でデビューして数々の大舞台と経験を積み、もはやあどけない少女ではなく心と体も大人の女性となり、このような男を軽くあしらうような歌も実に上手く歌っています。
彼女の表現できる歌世界は多種多様。時に普通の平凡な女性が好きな人を一途に思う気持ちを歌い、時に男を弄ぶ小悪魔、また時には激しく追い求める強い女性。
この歌では求愛してくる男を不感症のように「どうして男ってこんなに面倒くさい生き物なの？」とでもいわんばかりに、そう、まさしくまるで男から見たら小悪魔！いくら気を引こうとも振り向いてもらえない憎らしい存在。
そして心を誰にも開かない近寄りがたい存在。
などと書くと聞いてて面白くないのかと言えば、とても楽しい歌ですし、楽しめる歌です｡車の中で流せば一緒に口ずさんでしまいます。というのも、毒々しいハードな曲ではなく、むしろ軽いリズムが心地よいのです。この歌の音源だけを聞いていても脳内ではそれを歌っている姿・衣装などがなんとなく想像できてしまいます。
中森明菜の歌は歌の風景というより、ヒロインが目に浮かぶのも特徴です。歌世界の架空の人物を歌っているのにまるで彼女自身がそのヒロインに化身していってしまうから引き込まれるのかもしれません。
彼女の曲を注意深く聞きつづけていると、曲によっていろんな歌い方・声・声質が変わるのに気づくと思いますが、この歌で出される声は特に好きです。サビ前の声の抑え方、要所要所の息の出し方も気を配っていて、一つの歌にいろんな表現の仕方をしていることに驚かされます。
彼女の表現は多彩で幅が広いと思います。
やはり私にとって彼女の最大の魅力はよくねかされた上質のワインのような声であり、その声をマジックのように使い分けて発せられる表現力であると思います。
出だしはまるで「SOLITUDE」を思い出させる詞であり、淡々とした歌い方です。この力の抜け具合が決して男に燃える事などない小悪魔らしさが良く表れています。そしてサビ部分では力強く夢も幻も信じないのよと突っぱねています。
小悪魔のような女性など架空の存在です。でもこの歌を聞くと架空であるはずの世界にすっと溶け込み、楽しめます。まるで小説や映画を観賞するようにすんなりと中森明菜の歌世界に誘ってくれます。
是非、ライブで聞いてみたい曲です。
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