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『もう一人の明菜』のＡ面ディスクに収録されてる曲は好きな歌が多いですが、その中でもこの歌は一番のお気に入りです。購入した当初はながら聴きをよくしてたんですが、この歌は知らず知らずのうちに私の心の奥底に染み込んでいったようで、この歌を聴くと悲しみと温かみの入り混じった何とも言えない感情を呼び起こされました。そして気づくと、リピートしてこの歌ばかり聴いてる自分がいました。
この歌に入れ込んでた時期はもう半年以上も前ですが、歌詞の冒頭の「銀杏並木」に似合う秋にレビューを上げたいなと思ってて、今日ようやくこうしてレビューを書き込めるのを嬉しく思っています。
この歌を聴くと、涙が溢れ出てきそうになるほど胸を抉られるそんな衝動に駆られます。しかし、それでいて温かいぬくもりを感じます。それが、この楽曲に対する私の思いです。これほどこの楽曲が私の胸を打つのは、やはり何と言っても明菜さんの歌唱力のなせる業なのでしょう。そういった意味では、情感を伝えることに長けた明菜さんの片鱗を垣間見れる一曲と言えるかもしれません。
恋人との別れの歌でありながら、根底には温かいものが流れているように私は感じます。それは、「もしもあなたにあの日逢わなければ 涙など知らずにいられたのに」という歌詞に含まれたあなたに会ったことで私はこんなに素敵な感情を知ることができたという誰かを愛する素晴らしさや、「私そんなに不幸じゃない こんなにも愛しさを知ったから」という救いのある歌詞だからかもしれません。しかし、それ以上に私がこの歌から温かみを感じられるのは、明菜さんの歌唱が優しい吐息で紡がれているからに思えてほかなりません。ただのアイドルでは終わらなかった中森明菜という歌手の本質を少しだけ分かった気がしました。
この歌を聴いてもう一つ感じたことは、映像がぱっと思い浮かぶことでしょうか。まるで映画の１シーンのようです。私はイメージを描くのが苦手なタイプなんですが、この楽曲は寝床で耳を澄ませていたら何の苦労もせず映像が浮かんできました。ただ、当時の明菜さんの声で思い浮かべてしまうのでどうしても少年少女の佇まいになってしまうのが残念なところ。出来れば、この歌が出された４、５年後の明菜さんの歌唱で聴いてみたかったと思ってしまうそんな一曲です。
この歌が映像として流れているのを見たら、よく出来てるシナリオだなと感心すると思います。
感心する第一のポイントは、傘という小道具が上手い具合に使われていることです。
「二つの傘がふるえてる」と「一つの傘で寄り添って」の対比が上手いな〜って。
第二のポイントは雨です。
何故この映像が映えるのか？それは雨が降ってるから。この一言に尽きると思います。
晴れてても雲ってても駄目なのです。二人を優しく包んでくれる雨が降ってるからこそ、この映像は映えるのだと私は断言して止みません。
ところで、私はこの楽曲大好きなんですが当の明菜さんはどうなんでしょうね。
この歌を歌った当時の明菜さんに会うことが出来たら聞いてみたいです。
『雨のレクイエム』はお好きですか？と。
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