| ちょっと前に板で高橋真梨子さんの『DESIRE』の話題がでていました。真梨子さんの『ＤＥＳＩＲＥ』を某動画で数カ月前に見たことがあります。さすがに歌唱力がある方なので、卒なく上手くまとめています。この曲のタイトルが『アンニュイ』なら真梨子さんの歌い方の方があっているでしょうね。
だがしかし、この曲のタイトルは『ＤＥＳＩＲＥ』、強い欲望。電子手帳のジーニアス英和辞典を引くと、意味の中に〈異性〉に欲情をいだくとあります。歌詞に強い欲望がでています。
阿木燿子の歌詞の世界って、肉食系です。ジュディ・オングさんの『魅せられて』や山口百恵さんの『美・サイレント』を聴いてもらえば阿木さんの歌詞の世界観がつかみやすいでしょう。
阿木さんの世界観から考えれば、ダンスのような激しい恋、まっさかさまに（相手に）堕ちたい、炎のように燃えたいには肉体的な欲求が含まれているでしょうね。明菜の歌い方はウチに秘めた欲情のマグマが制御不可能に爆発していきながら、官能やエクスタシーに走りすぎないバランス感覚が素敵です。
真梨子さんの歌は阿木さんの世界観からすると温度が低いです。アラカンの真梨子さんに熱さを求めてもどうかって気もしますが。真梨子さんの歌唱には確かに馬力があります。だけど、馬力の方向が『ＤＥＳＩＲＥ』とちょっと違います。
♪恋も dance, dance,dance, dance ほど 夢中になれないなんてね 淋しい♪
裏を返せばdanceのように夢中になる恋がしたいと。そんなｄａｎｃｅのように夢中になれないから淋しい。
♪恋も♪〜の明菜のリズムのノリ方、真梨子さんの歌は上手いですが、明菜のリズムのノリ方はできないですね。真梨子さんの『ＤＥＳＩＲＥ』はアンニュイ仕立てで全体のテンポも明菜よりもゆっくり目です。ソコが『アンニュイ』では違和感がないですが、『ＤＥＳＩＲＥ』としては物足りない点です。
明菜のリズムのノリ方だと本当はｄａｎｃｅのように夢中な恋がしたいというのがよく伝わってきます。そしてテレビで見せていた明菜の踊りが何気に激しい。あのdance（踊り）以上の恋を求めているということですね。
明菜はサビのリズムのノリ方が圧巻です。
特に最後の♪Get up, Get up,
Get up, Get up
Burning heart
Get up, Get up,
Get up, Get up
Get up, Get up,
Get up, Get up
Burning love♪は
ウチに秘めた欲情という名のマグマがコントロール不可能な感じで噴火したように、リズムにノリまくり、乗り切っています。リズムに乗り切っているのと締のロングトーンで完全に爆発してスパークしています。『ＤＥＳＩＲＥ』のクライマックスです。
♪やり切れない程 退屈な時があるわ あなたと居ても♪ここの入りが明菜は確かに低いです。最近磨きがかかって更に低い。でも決して明菜の歌い方は重くないです。サラッと軽くドライに歌っています。歌い方の湿度の関係か低いと重たくなりがちです。サラッと軽くドライに歌うには案外リズムとりが難しいパートの気もします。ネチッベタと重たくないので逆に孤独な淋しさがでています。明菜は陰の声なので淋しさを出し易いというのもあります。
明菜の方が阿木さんの世界観を上手く表現しています。そして、歌として聴くなら、明菜の方がドラマティックです。肉体的な欲求はさておき、孤独な淋しさとウチに秘めた熱いエネルギーの両方があっての『ＤＥＳＩＲＥ』です。真梨子さんの『アンニュイ』だけでは物足りないです。
真梨子さんは歌詞の世界観、曲のリズムのノリ方、どれも明菜とは同じ土俵に乗らなかったです。同じ土俵に乗ったら明菜の方が上手（うわて）です。明菜が歌う『ＤＥＳＩＲＥ』とは真梨子さんの『ＤＥＳＩＲＥ』は全く別物として考えた方が良いです。同じ土俵に乗らなかったのはある意味真梨子さんの賢い選択でしょうね。
孤独な寂しさや寂廖感に相反する内なる熱い想いや情熱、この相反する要素を含んだ曲を歌わせると明菜はハマります。 |
